雷鳴都市、バンコク
地球だより
タイの雨季は、だいたい4月から始まり10月に終わる。
雨季になると、決まって夕刻、土砂降りの雨が小一時間程度、続く。
この時、窓を開けたままにしておくと、とんでもないことになりかねない。
というのも開けた窓から土砂降りの雨が滝のように落ちてきて、あっという間に部屋が水浸しになる。すると、翌日の朝には床の木片が水を吸って膨張し、でこぼこの床になってしまう。
さらに驚くべきことに、雨水が火災の原因にもなる。窓下のコンセントに、窓から雨水が降り込み、両極を水がつなぐ格好になると、バチっと火花が飛び、これが窓のカーテンなどに引火すれば、火災も原因にもなりかねないからだ。
さて、土砂降りの雨の間、雷が鳴り響く。音の速度は光に比べ、著しく遅いので、ピカッと光って「ドドド」と雷の音が鳴り響くまでの時間で、雷が落ちただいたいの位置が確認できる。
その雷の音の状況は、まるで戦場にいるかのような雰囲気だ。夜空を見上げると、上空を覆った暗雲を影絵に仕立て上げたように、さまざまな文様を浮かび上がらせる。
バリバリと夜空を切り裂く雷鳴が私は好きだ。一日の仕事の終わりを告げる、終了ベルのようでもある。
この雷だが、ローカルな地方より「天使の都(クルンテープ)」として名高いバンコクの方が、ずいぶん多いと実感する。その理由は、ヒートアイランドとして名高いバンコクの高温多湿傾向が続いていることに起因する。
(T)