トゥアナオの意味は「臭い豆」


地球だより

 タイにも納豆が存在する。日本だと大体が納豆をご飯に混ぜて食べるが、タイの場合は食べ方はさまざまだ。

 納豆をペースト状につぶして薄くせんべい状に広げて乾燥させたものを、火であぶっておかずにしたり、つぶしてカレーやスープの調味料として使ったりもする。

 また、軽くつぶした納豆に塩やトウガラシで味付けしてゆでたものや、納豆に塩やトウガラシを混ぜて、みそのように熟成させたものもある。

 「トゥアナオ」と呼ばれる納豆だ。「トウア」は豆、「ナオ」は臭いという意味で「臭い豆」。一ひねりもおかしさもない直球型の命名で、納豆には少々、失礼な名前だ。

 日本には「まめまめしく働く」とかの言葉がある通り、豆にはいい意味が付加されている。ただ、タイ人というのは実名をほとんど使わず、「レック」(ちび)だとか「ウワン」(でぶ)とか、小ばかにしたような名前を敢(あ)えて使うことから、納豆に「お前は本当に臭い奴(やつ)だなー」といった秘めた親しみを込めた命名と言えなくもない。

 さらにひき割り納豆もあり、もち米と一緒に食すと結構いける。タイ人は唐辛子やつぶした生にんにくを混ぜても食べるが、こちらの方はピリ辛ニンニクの刺激が強過ぎて、ふくよかな納豆の味わいがなくなり、慣れないと無理だ。

 なおタイの納豆はシダやチーク材の葉などで巻いて作るが、最近は日本で売られているような白い発泡スチレンシート入りのものも、バンコクでは売られるようになってきた。

(T)