日米友好の象徴に危機


地球だより

 米首都ワシントンの春の風物詩である桜で有名なポトマック河畔は、今年も4月上旬ごろ、その花を愛(め)でる地元の人たちや観光客で賑(にぎ)わった。しかし、1912年に当時の東京市から桜が寄贈されてから100年以上が経(た)ち、日米友好の証でもあるこの桜の名所は危機に瀕(ひん)している。

 3000本の桜の木が並ぶポトマック川の入り江、「タイダルベイスン」を囲む歩道の一部が1日2回の満潮時のたびに水没し、通行できなくなる事態となっている。しかも、塩分を含んだ水であるため、これに浸かった桜の根を傷め、木の寿命を縮めているという。

 ここはもともと19世紀に造成されたポトマック川の埋め立て地で地盤が緩いが、年々訪問客が増える中、護岸が徐々に泥の中に沈下したことなどが原因。気候変動の影響次第では、いずれタイダルベイスンのすべてが水没するとも懸念されている。桜の季節の3週間だけで約150万もの人が訪れる観光地にしては道が狭過ぎることも問題視され、大規模な改修が急がれている。

 こうした中、米国立公園局は歴史的遺産の保護を求める団体などと共に「タイダルベイスンを救え」という保護運動を始めた。これは、今後100年以上先を見据え、長期にわたって桜並木が存続できる「大胆かつ野心的な」アイデアを企業や団体などから募るというプロジェクトだ。

 桜の季節にはテレビ中継されるなどメディアからも注目を集め、多くの米国人たちがここを訪れる。こうした光景を見ると、桜の寄贈に関わった先人たちに先見の明があったと思わせられる。時代に合わせて新たな形でこれから先も存続することを願う。

(Y)