建設が進む「新首都」


地球だより

 首都カイロの人口過密に伴う、交通渋滞の緩和などを目的に、首都から東方45~50㌔地点に建設が始まっている 「新首都」に行ってみた。

 高速道路を走行中の車窓から、砂漠の中に忽然(こつぜん)と姿を現したのは住宅用と思われる高層ビル群。

 しばらく走って、中央地点に近いと思われる付近には、既に高級ホテルが開業し、近くに、エジプト人口の1割の信者を持つコプト教(エジプトのキリスト教)の巨大な教会が、既に完成した姿を見せていた。当日はこのホテルで、シシ大統領出席の下、エジプトの未来に向けた科学の先端技術を発表し合う科学者たちの会合が開かれた。

 来た道とは別の道を通って帰路に就いたが、見えてきた巨大な建物は、モスク(イスラム教礼拝所)だった。教会とモスクが先を争うようにして、先に建設されたのだろう。大統領府や国会議事堂など政府・議会関連施設の建設はこれからだそうだが、2020年末には、大挙して移動するとみられている。

 各種報道を総合すると、まだ名もないこの「新首都」の面積は、東京23区(約620平方㌔)より広い約700平方㌔で、ほぼシンガポール全土に匹敵する。

 アフリカ最大のタワーなどエジプトで最もハイテクを駆使した、初のスマートシティーにするという。

 人口は600万~700万人(現在のカイロは約2400万人)まで可能。総工費は450億㌦(約5兆円)。既に、「建設用地の売却」で捻出したとされる。中国が推し進める「一帯一路」の線上にあり、中国資本の多大な投入も囁(ささや)かれている。

(S)