本場のシュハスコに舌鼓
地球だより
先日、日本から来た知人をサンパウロのシュハスコ店に招待した。本場ブラジルのシュハスコは、肉好きなら誰もが一度は食してみたいものではないだろうか。
ちなみに、同じ南米でもアルゼンチンとブラジルでは牛の種類が違う。アルゼンチンで飼育されている牛のほとんどはヨーロッパ種であり、同国周辺は南米で最も美味(おい)しい牛肉が食べられるといわれる。
これに対して、ブラジルやパラグアイなどで飼育されているのは、熱帯種のクリオーリョやネローレといわれるもの。熱帯種は、欧米種に比べると肉の柔らかさや肉汁の豊富さなどで敵(かな)わないとされる。
ただし、ブラジル産牛肉の楽しみもある。それは、シュハスコに代表される調理法、つまり炭火でじっくりと焼き上げ、荒塩などのシンプルな味付けを施したことで得られる「匂い」を含んだ肉そのものの味わいだ。
ブラジル牛でシュハスコを食べると、肉の部位によって匂いと味が違うことがはっきりと分かる。クピン(こぶ肉)、アルカトラ(ランプ肉)、コステラ(バラ肉)など、串に刺した状態で各テーブルに回ってくる肉のそれぞれに、独特の味わいがあるのだ。
「百聞は一見にしかず」とはよく言うが、知人も本場のシュハスコに「本当に美味しい」と驚きを隠さなかった。
もちろん、日本から遠く離れたブラジルを旅行しているという高揚感がもたらす効果もあったのだろう。それでも、ダイナミックな肉料理とブラジリアンコーヒー、熱帯ならではの果物に満たされた体験は、忘れることのできないものとなっただろう。
(S)