仮装で祝うプリム


地球だより

 イスラエルの祝日の中で最も華やかな 「プリム祭」が3月20日、全国各地で行われた。

 毎年、ユダヤ暦のアダル月14日に行われる。城壁に囲まれた町では1日遅れて祝う風習があり、エルサレムだけは15日に行われる。

 プリムとはヘブライ語で「くじ」を意味する。紀元前5世紀ごろ、ペルシャ帝国アハシュエロス王の時代、ユダヤ人の殺害を企てた宰相ハマンは、「くじ」を引いて実行日を決めた。この計略をユダヤ人である王妃エステルが、決死の覚悟で王に知らせ、ユダヤ人は奇跡的に救済された。

 ユダヤ教徒は、夜と朝にシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で旧約聖書のエステル記を子供たちと一緒に朗読する。ハマンの名前が読まれると、子供たちは音の出るオモチャや足を鳴らして騒ぎ立てるのだ。

 この日は、お菓子などのプレゼントを交換し合い、「ハマンの耳」と呼ばれるジャムやチョコなどが入った三角形のクッキーを食べる。また、大人も子供も仮装して祝い楽しむ。

 わが家の娘たちも、友達に贈るお菓子をバスケットに詰めていた。今回のテーマは海だという長女は、自作の海の生き物たちを衣装にまとい、人魚やクラゲなどに扮(ふん)した仲間と一緒にプリムのパレードを楽しんでいた。

 エステルや当時のユダヤ人たちが断食したことから、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒はプリムの前日に断食をする。そして、この日だけは酔う程にワインを飲んでもよいとされ、若者たちは祝杯に酔いしれるのだ。

(M)