合理的な交通ルール


地球だより

 米国の交通ルールは、「左ハンドル右側通行」というだけでなく、日本とは異なる決まりがいろいろとある。中でも、一番面白いと思うのは、赤信号でも車や歩行者が来ていなければ右折できる「ターン・オン・レッド」があることだ。

 1973年のオイルショックをきっかけに、その2年後に省エネを目的に導入されたものだが、何より信号待ちのストレスが減るのが良い。赤信号でも場合によっては通れるという発想は、規律を重んじる日本では考えられないことだ。その点、米国のルールは合理的で、日本人である筆者も初めは少し戸惑ったが、慣れるとむしろ優れたルールだと思える。

 一方、歩行者の立場で横断歩道を渡る時は、車が歩行者の存在に気付かずに右折しようとする可能性もあるので、信号が青であっても注意が必要だ。

 首都ワシントン市では、交通事故死を防ぐ政策の一環として、新たに約100カ所の交差点で、赤信号での右折をすべて禁止することを検討している。このことを自転車関連団体が歓迎する一方、事故を減らすことを証明する明確なデータがないことから一部で反対論もある。

 いずれにしても、国土が広く車社会の米国では、都市部を除くと歩行者が比較的少ないので、基本的にはメリットの方が大きいルールと言えそうだ。

(Y)