落とし物を届けに来た人


地球だより

 米国で落とし物をしたら見つからないことが多いようだが、先日、アパートまで落とし物を届けに来た親切な人に出会った。

 届けに来たといっても記者の落とし物ではなく、同じ建物に住む主婦のものだった。アパートを出ると、駐車場の車から30代くらいの男性が出てきて、声を掛けられた。免許証を拾ったので届けたいという。

 オートロックのドアを通らなければ部屋の前まで行けないため、建物から誰かが出てくるのをしばらく待っていたようだ。

 その男性を落とし主の部屋の前まで案内し、無事、本人に免許証を手渡すことができた。届けに来た男性はクリスチャンらしく、届けられたことを神に感謝するなどと話し、興奮した様子だった。私にも「ゴッド・ブレス・ユー」と言って握手し、うれしそうに帰って行った。

 米国に長年住む日本人によると、落とし物を拾った場合、日本のように警察などが責任を持って対応してくれないため、個人間で渡すことになるようだ。ただ、こうした親切な人に拾ってもらえるよりも、そのまま盗まれたりするケースが多いようなので、落とし物はしないに越したことはない。

(Y)