イラクに新たなテロ組織

 イラクで「白旗(ホワイトフラッグ)」と呼ばれる新たな武装組織が出現、過激派組織「イスラム国」(IS)に代わる勢力になるのではないかと懸念されている。

IS再組織化か

ビル・ガーツ

 白旗は、イラク北西部と中部で昨年末ごろ活動を開始、米国防・情報当局者らは、クルド人テロ組織とISの連合体ではないかと見て、監視を続けている。

 米当局者は「寄せ集めのような組織であり、ライオンを描いた白旗を掲げている」と指摘、組織の実態はよく知られておらず、現地では、ISのような聖戦思想を持っているとの報道もある。

 軍当局者は、断片的な情報しかないが、イラク内の活動地域で脅威となっているようだと指摘したものの、国外でテロを行うほどの力は持っていないとみている。

 国防総省内では、国際テロ組織アルカイダ、ISに次ぐ3世代目の「IS2・0」になる可能性があるとみられている。一方で、軍当局者は、白旗がISをしのぐことはなく、小規模なIS系テロ組織のモデルとなる可能性があると指摘した。

 アルカイダから生まれ、過激派組織となったISは、2014年にイラクに広大な支配地を確保した。これは、米国や同盟国がアルカイダ掃討に注力する一方で、そのイデオロギーへの対応を怠ったことも一因だ。

 イラクのISは昨年、事実上消滅したものの、米情報当局者らは最近、「ISの中核組織はイラクとシリアで反政府活動を開始した。…いわゆるカリフ制を復活させるための長期的戦略の一環だ」と指摘、イラク、シリアでIS再組織化が進み、世界各地に拡大していると警告した。

 ビル・ガーツ氏 米紙ワシントン・タイムズ(WT)の国防担当記者として、これまでにスクープ記事を多数執筆。現在は米保守系ニュースサイト、ワシントン・フリー・ビーコンの上級エディター。WT安保専門コラムニスト。著書に『iWar―情報化時代の戦争と平和』(iWar.com)、『誰がテポドン開発を許したか』(文藝春秋社刊)など。