学業優秀な日系生徒


地球だより

 日系人の祖父母もしくは曾祖父母を家系に持つ生徒の学業習熟度が高いと、ブラジルで話題になっている。公立学校で昨年末に行われた調査によるもので、地元紙「フォーリャ」などが報じた。

 この調査は、公立小学校の中学年から高学年の生徒を対象として行われ、生徒の名字を主な材料として家系を詳細に調べる手法で統計を集めたという。

 多数派のポルトガルやスペイン系の生徒に比べて、算数の習熟度で日系生徒は最大で1年進んでおり、ドイツ系やイタリア系など他の民族を含めて比べた教科全般の習熟度でも日系生徒は勝っているそうだ。

 社会政策専門家は、調査結果から、生徒の成績には明らかに「先祖からの贈り物」の影響がみられると分析している。それは、それぞれの民族が社会内で持つ「学業を修めることに対する意識や総意」だという。

 つまり、日系生徒が抜きん出た学業成績を誇る背景には、学業成績に劣ることから両親を落胆させたくない、学業成績を上げて両親を喜ばせたいという生徒の親孝行の思いに加え、良い成績を修めることが社会での成功につながるという意識があるとみているのだ。

 日本人として悪い気はしない。でも、よく考えると結果を残したのは「先祖」であり、今の日本人がというわけではない。日系ブラジル人の歴史は明治時代末期の1908年にさかのぼる。勤勉な当時の気風が日系社会への「贈り物」なのだろう。

(A)