サンパウロの交通事情
地球だより
南半球最大の都市とされるサンパウロの名物の一つに交通渋滞がある。東京やニューヨークのように地下鉄など公共交通網が発達していないことが理由の一つだが、それ以上に自動車自体の数にインフラ整備が追い付いていないことが大きい。記者もこの渋滞には日ごろから悩まされており、待ち合わせ時間などが通勤時に重なると、まったくというほど移動の時間計算が成り立たなくなる。
そのサンパウロでは「ホジージオ(交代制)」という珍しい渋滞解消法が取り入れられている。それはナンバープレートの末尾番号ごとに市内の中心部に乗り入れることができる曜日が決まっているというもの。乗り入れ禁止の対象時間は、朝7~10時と午後5~8時の間と決まっている。
このホジージオ、元はサンパウロの大気汚染を軽減するために導入されたものだが、近年の経済発展に伴う中間所得層と自動車の増加により、渋滞の軽減という別の役割も果たすようになった。
ホジージオの番号制を守らずに走っていれば、交通警官のお世話になるだけでなく、驚くほど多い監視カメラの御用になることも覚悟しなければならない。こうした規制をすり抜けるために、盗んだナンバープレートや偽造プレートを利用する者も存在する。
犯罪に加担しない大多数のサンパウロ市民は、番号制を守るしかないわけだが、市内に住み、仕事をしている住民にとっては、渋滞の解消に寄与しているとはいえ、不便極まりない制度ではある。
(S)