トランプ米大統領、対露制裁強化法に署名


関係改善は困難に

 トランプ米大統領は2日、対ロシア制裁強化法案に署名し、同法が成立した。ロシアは反発を強めており、「冷戦後最悪」といわれる米露関係の改善はさらに困難になった。

 同法は議会の承認なしに大統領が制裁緩和することを禁じている。トランプ氏は声明で「政府の交渉権を制限している」とし、「明らかに幾つかの憲法違反が含まれている」と強調。ただ、国の結束のために署名することを決めたと語った。

 制裁強化法は先月、上下院の圧倒的多数で可決されていた。大統領が署名を拒否しても議会の3分の2以上が賛成すれば覆すことができるため、トランプ氏は署名せざるを得なかった。

 同法はロシアのウクライナ侵攻や昨年の米大統領選への介入などを理由に経済制裁を強化。米企業がロシア企業へ投資することなどを制限した。また、イランや北朝鮮に対しても追加制裁を科した。

 米メディアによると、トランプ氏の署名を受けてロシアのメドベージェフ首相は「(米露の)関係改善の期待は終わった」と語った。ロシアは同法が米議会で可決された時点で、報復としてロシア駐在の米外交官ら755人の国外退去を要求していた。

(ワシントン岩城喜之)