信頼失うイスラム指導者


地球だより

 あるエジプト人女性が離婚を決断、その手続きを開始した。モスクのシェイク(イスラム指導者)を、夫婦おのおの最低1人の証人を伴って訪れ、離婚の確認を行うのだ。女性は多忙な兄を説得して出席してもらい、夫は会社の上司を説得、出席してもらった。ところがシェイクは、離婚の事実を記す大事な用紙を忘れてきたという。

 十数年かけて命懸けで決断した女性からすれば、「うっかりした」では済まされない重大なミスだ。この日がつぶれると、再びお互いの日程を調整し、またの機会を持たねばならないからだ。女性は、イスラム指導者は、最低の人物の集まりで信頼できないと悪態をつき始めた。

 確かに、そのような話は記者も方々で聞いたことがある。一番優秀な生徒はまず医学部に集められ、裁判官や弁護士、外交官などに優秀な人材が集中、イスラム指導者は行き場を失った者の集まりというのだ。

 女性の離婚の理由の一つは、夫に欠陥があり子供を生めないことにあり、十数年悩んだ末、子供が欲しくて離婚を決断した。

 イスラム法では、離婚後3カ月は再婚できないことになっている。子供の父親が離婚した夫か、再婚した夫か分からなくなるからだ。しかし、夫の欠陥は明白だから3カ月は必要ないと主張しても、シェイクは、コーランのくだりを吟唱するだけで事情を酌もうとしないという。

 イスラム教指導者はコーランを神の言葉と信ずるが故に、特に一字一句こだわる傾向が強いようだ。

(S)