韓国に強まる「核武装論」
北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射と核実験によって、米国の「戦略的忍耐」は限界に達しつつある。また、北朝鮮は今月4、5の両日、中国の杭州で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議の期間中に中距離弾道ミサイル3発を発射して開催国・中国の顔に泥を塗った。
韓国国防省は12日「北朝鮮はいつでも第6回核実験を行う準備ができている」と発表した。これまで北朝鮮の挑発が起こる度に国連と国際社会は非難声明と制裁のレベルを高めたが、効果はほとんど見られなかった。逆に北朝鮮の反発と脅威が増大しつつあるのが事実である。
最近、韓国では自主防衛論が説得力を得てきている。北朝鮮が核を放棄しない場合は韓国も核武装すべきという「条件付きの核武装論」である。もちろん、米国が阻止に動くのは明らかだが、もしそうであるなら、米国は戦術核を韓国に再配備して「核の傘」をより確実にすべきだろう。
さらに、中国にとって最も怖いのは日本の核武装だ。したがって、中国が本腰を入れて北朝鮮の核放棄に向けて動くようにする一番手っ取り早い方法は、韓国、日本、台湾の核を容認するという外交カードを中国に提示して交渉することだ。
この二つのカードが効かない場合、アメリカとしては北朝鮮の指導部に対するピンポイント空爆に踏み切る選択を迫られることになる。これまで北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を止められなかったことを教訓としなければ、今後もさらなる脅威が続いていくはずである。
中国と北朝鮮は最悪のシナリオを招くことのないよう、国際的な義務を忠実に果たすべきだ。
(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授)