クーデター未遂に冷めた視線
地球だより
トルコでの一部軍人らによるクーデター未遂を、エジプト国民の大多数は冷ややかな目で見つめていた。
クーデター勢力によって命を狙われたエルドアン・トルコ大統領は、エジプトの現シシ政権誕生以前のモルシ政権を熱烈に支持、現政権とは基本的に冷たい関係を維持してきているからだ。
エルドアン氏がモルシ氏を支持した理由は、2人とも、「国家にイスラム法の導入を図って国家をイスラム化し、さらに世界をイスラム化する」ことを目標に掲げる「ムスリム同胞団員」だったからで、モルシ政権が断行した急激なイスラム化と経済無策に懲りたエジプト国民の大多数は、エルドアン政権が進めるイスラム化政策を冷ややかに見つめてきたからだ。
世界中の多くの人が、エルドアン氏がスマートフォンを使って国民に直接クーデターの鎮圧を呼び掛け、それに応じた国民が命懸けで戦車に立ち向かったことに驚きを表明した。命懸けの行動を要請できたのは、彼を同志的に支える同胞団員が公正発展党の中核にいたからだ。
戦車の前などで、実際に命を落とした人々は246人。エルドアン氏は彼らを「殉教者」と呼んだ。信仰を共有していることの証拠だ。「ボスポラス橋」を「7月15日殉教者の橋」に改称するのもエルドアン氏の体質を示している。
エルドアン氏は国際社会の批判を尻目に大規模な粛清を始めたが、これも同胞団の体質の表れであることを知るエジプト国民の大多数は、冷たい視線を送っている。
(S)