米国民が希望する移住先は?


地球だより

 カナダ東部大西洋岸ノーバスコティア州にあるケープブレトン島は風光明媚(めいび)な島として有名だ。電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベルは「私は世界中を旅行した。カナダや米国のロッキー山脈、アンデス、アルプス、スコットランドの高地も見てきたが、素朴な美しさにおいてケープブレトン島はそのすべてに勝る」と評した。島の人口は約10万人だが、島の海岸沿いを走る300㌔の周遊道路カボット・トレイルは世界でも有数のドライブコースとされる。

 そのケープブレトン島が、米大統領選との絡みで注目を集めている。不動産王ドナルド・トランプ氏が11月の米大統領選で勝利したら、国外に脱出したい米国人の移住を歓迎するという呼び掛けを行ったからだ。「トランプ氏の勝利を待たずに、今すぐ移住手続きを始めましょう。そうすれば選挙当日にはバスに飛び乗り、すぐに新生活を始められます」と、不安にかられる米国民への助言も忘れていない。

 この移住キャンペーンは島の観光組合が推進しているが、2月のキャンペーン開始3日間で昨年1年間合計を上回る5万件以上の問い合わせが米国から殺到した。7月の時点で観光組合のウェブサイトのトラフィックは150万ページビューに達している。

 島の観光組合のCEOメアリー・トゥレ氏によると、米国からのオンライン、電話による島についての問い合わせの増加に対応するために専属の従業員を複数増員する計画だという。トゥレ氏はオバマ米大統領夫妻やトランプ氏も島のゴルフ場に招待している。

(K)