ドゥテルテ大統領就任式中の犯罪はゼロ


地球だより

 6月30日にドゥテルテ新大統領の就任式が行われた。大統領は就任演説で「本物の改革」をスローガンに掲げ、国民の期待が集まっている犯罪や汚職の撲滅に尽力することを改めて強調した。
 国家警察によると就任式が行われた時間帯に、マニラ首都圏で犯罪ゼロを記録したという。フィリピンの国民的英雄のボクシング選手、パッキャオ氏の試合中は、全ての国民が中継に熱中するため犯罪が発生しないことで知られていたが、ドゥテルテ氏も就任早々に新たな逸話を作った格好となった。

 また就任式の前日には、各地で麻薬の密売者や使用者が、数百人単位で自治体や警察に自首するケースが相次いだ。国家警察によると、これまでに首都圏ケソン市で約350人。またパサイ市では約500人が自首しており、彼らには職業訓練などの更生プログラムが適用される見通しだという。

 表向きにはドゥテルテ氏の犯罪対策を恐れて自首したということになっているが、市民の間では、麻薬密売に関与している警官に、口封じとして消されるのを恐れた密売人が、助けを求めて駆け込んでいるといううわさも流れている。やはり腐敗の根はかなり深そうである。

 ドゥテルテ政権は警官の待遇改善策として、給与を現在の倍額に引き上げる方針を示している。これによって、警官による汚職を防止したい構えだが、果たして奏功するのか注目したいところだ。

(F)