タイの警察人事異動で死者任命
地球だより
タイでは、5月31日付で発表された警察の人事異動で一騒動持ち上がっている。実はこの名簿に死亡した警察官の名前が記載されるなど「トンデモ人事」が明らかになっているからだ。
それだけではなく、人事異動が発令された警察官7849人のうち、名前の重複や階級の間違いといったミスが488カ所見つかった。
タイ警察のスポークスマンは今回のミスの発生は、軍事政権の命令で、人事を中央で一括して行う方式に切り替え混乱が生じたことによると解説。
警察はタクシン元首相の古巣でもあり、タクシン政権時代やインラック政権時代にタクシン元首相が影響力を行使できる大幅な人事の入れ替えがあった経緯がある。タクシン派の政治基盤をそぎ落とすことを使命にしているプラユット暫定政権にしてみれば、現場の各管区に一任することなく、中央の監視の下、タクシン氏へのシンパシーを持っている支持層を完全に排除しようと考えたのだ。
だが、今までやったことのない手法でやれば、チェック機能が働かずさまざまなミスが出て来るのは仕方がないことだ。そのため警察のトップは、「ミスは全体のわずか6%」だとして、責任は追及しないという。
責任を追及すれば、中央一括方式に切り替えたプラユット政権自身が返り血を浴びることになるのは必至。ミス率6%という異常な数字も頬かむりして、やり過ごすつもりだ。
(T)