トランプ氏の嫌がらせ?


地球だより

 「今年は売り上げが半分くらいに減り、利益もほとんどない。ショックだよ」

 これは、米首都ワシントンの春の人気行事「ジャパニーズ・ストリート・フェスティバル」で毎年、日本の雑貨品を販売している知人のぼやきだ。日本文化を紹介する同フェスティバルは「全米桜祭り」の目玉イベントのはずだが、一体何があったのか。

 フェスティバル会場は昨年まで、同じ日に行われるパレードやスミソニアン博物館に近く、観光客が訪れやすい絶好のロケーションにあったが、今年は少し不便なところに移り、来場者が減ってしまったのだ。

 会場変更を強いたのは「トランプホテル」。そう、大統領選の共和党指名争いで首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏が旧郵便局の建物を改装して今秋オープンするホテルである。

 フェスティバルは旧郵便局前の車道を歩行者天国にして開いていたが、ホテル側がワシントン市当局とイベント開催時でも1レーンは車が通れるようにすることを取り決めたため、会場変更を余儀なくされたのだ。

 トランプ氏は在日米軍撤退の可能性を言及して日本の「安保ただ乗り」に不満を示すなど、日本に批判的な言動が目立つ。このため、ホテル前の道路を使わせないのは、ホテル経営上の判断であっても、「日本に対する嫌がらせでは」といった“陰謀論”まで出る始末。

 いずれにせよ、ワシントンの日米関係者のトランプ氏に対する印象が一段と悪くなったことは間違いない。

(J)