交通事故も運次第?


地球だより

 タイでは正月が3回ほどある。西洋暦の正月である1月1日と旧暦の旧正月。さらに4月13日から15日までのタイ正月がある。

 無論、一番にぎやかに祝うのはソンクランと呼ばれるタイ正月となる。このソンクランを挟んだ1週間は例年、交通事故が急増する。タイ最大の長期休暇でみんなが故郷に帰ったり家族で遊びに出掛けたりと、移動ラッシュが続くためだ。

 今年のソンクラン期間中の1週間では、交通事故死がタイ全土で442人に達した。昨年の362人を抜く記録だ。

 この高い交通事故犠牲者数について地元紙は、いろいろ論評している。「ガソリンが安くなって自動車で出掛ける人が増えた」といった経済環境の変化を説く人がいる中、なるほどと思わせるのが仏教的気質論だ。

 というのも仏教を精神的支柱とするタイ人は、何事も前世の因果が原因とする運命論的思考をする。交通事故の直接的原因は飲酒運転だったりするのだが、それを運命とか運が悪かったとすり替えてしまう。

 こうした運命論は、えてして事故を反省したり教訓にしたりせず事故防止努力を怠りがちで、結果として事故が繰り返される傾向を呼び込んでいる。

(T)