迷惑な選挙キャンペーン


地球だより

 フィリピンでは正副市長や町議会などローカルと呼ばれる選挙のキャンペーンが解禁され、近所はお祭り騒ぎのような賑(にぎ)やかさが続いている。

 賑やかと言えば聞こえがいいかもしれないが、日本だったら完全に苦情レベルの騒音だ。これが午前中から夜遅くまで続くからたまらない。しかも、平日にもかかわらず交通量の多い道路を完全に封鎖し、そこにステージを設営するものだから、多くの車両が迂回(うかい)を強いられるという迷惑ぶり。日本人から見ると明らかに権力の横暴であるが、不思議なことに誰も文句を言わない。これもお国柄なのだろう。

 あまりに長く続くので、日が暮れて涼しくなってから様子を見に行くと、黄色いシャツを来た与党の市長候補の集会であることが分かった。路上には候補者の名前がプリントされたビラや残飯が散乱しており、かなり長時間にわたって続いていることが分かる。ステージ上では候補者の演説だけでなく定期的に歌やダンスが披露され、集まった人を飽きさせない工夫がされている。さすがエンターテイナーの国である。とにかく集まった支持者に良い印象を残すことが重要なのだ。

 選挙戦が本格化するとお祭り騒ぎだけでなく、暴力沙汰も増える。相手の選挙キャンペーンの妨害や悪い噂(うわさ)を流すなどの情報戦はもちろんだが、銃社会だけあり、手っ取り早くライバル候補を消しにかかる物騒な連中も多い。

 この国の選挙戦はまさに命懸けだが、人生を懸けても惜しくないほど得るものも大きいのだろう。もちろんそれは格安の給与ではないはずだ。アキノ大統領の月給ですら、6万3000ペソ(約15万円)にすぎない。

(F)