異文化交流の難しさ


地球だより

 ホームパーティーの食卓で巻きずしののりをはがして食べようとしたり、日本語の文字が3000個もあると聞いて、パソコンのキーボードも3000個あるのかと驚いたりと、日本人としては考えてもみない発想をするエジプト人。今回、シシ大統領が日本を訪問した際、同行した記者が異文化に接し驚いた様子が連日放映された。

 彼らにとって魚を生で食べることは到底考えられないことで、テレビ局スタッフの1人が、皿に盛ったすしを手に持って、もう一人のスタッフに「食べろ」と追い掛け回すシーンがあった。

 東京駅の取材に訪れたスタッフが、マイクに向かって何かを話そうとするたびに、駅構内のアナウンスが流れて中断、1時間半の間に、1分しか話ができなかったという話もあった。

 深刻なのは、シシ大統領が衆議院本会議で演説し終えて、衆院議長に握手を求めたところ、同議長は、深々と礼をして、差し出された手に気付かなかったらしく、大統領は苦笑しながら差し出した手を引っ込めたという話だ。

 ほとんどのテレビ局は、文化の違いがもたらした珍事として、笑い話的な取り扱いをしたのだが、反政府のムスリム同胞団系とみられる人々は、マスコミやフェイスブックなどで、その場面を何度も“上映”して、シシ氏が議長にしかられた、拒否された、無視されたなどと酷評、大統領批判につなげている。

 友人のジャーナリストは電話で「真相はどうなのか。日本大使が弁明すべきではないか」とまで言ってきた。国民感情がお互い害されなければいいのだが、どうしたものか。

(S)