米国の民間有力シンクタンクの豪華ビル


 9月にワシントン市内に完成した米国の民間有力シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)の新しい本部ビルを訪ねた。

 エントランスをくぐると、贅沢(ぜいたく)な吹き抜けの空間が広がり、シャンデリアが垂れ下がる。同時に複数の会議やイベントを行えるよう、大小さまざまなホールを完備している。まるで高級ホテルのようだ。ワシントンの主なシンクタンクはだいたい見てきたが、豪華さでは間違いなくナンバーワンだろう。

 CSISはこれまで、賃貸のオフィスを使っていた。だが、今年2月に訪米した安倍晋三首相が講演したように、国内外の要人を迎える機会が多いCSISにとって、セキュリティーの観点からも自前のビルを持つことは悲願だった。

 それにしても、民間シンクタンクがよくもここまで資金を集められるものだと感心してしまう。シンクタンクは公共政策分野の調査や研究、提言を行う組織だが、一般企業のように目に見える商品やサービスを提供しているわけでも、新たな科学技術を生み出す研究を行っているわけでもない。それなのに資金が集まってくる。

 米国の有力シンクタンクは時の政権に政策やアイデア、人材を提供し、内外政策の行方を左右するほどの影響力を持つ。その存在感の大きさ故に、「第四の権力」といわれるメディアに次ぎ、「第五の権力」と評されることもある。その影響力が国内外から資金を呼び込む源泉となっているわけだ。

 CSISの豪華ビルは、ワシントンにおけるシンクタンクの影響力の大きさを象徴している。