危ない警備員


地球だより

 フィリピンに来た日本人が驚くことの一つに、警備員の多さがあるのではないだろうか。彼らは金融機関をはじめとして、マンションの入り口やファストフード・レストランにまで常駐しているが、銃を持った彼らが犯罪を起こすことも少なくない。

 マニラ首都圏で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の交通規制の準備をしていた交通警官が、銀行の警備員に射殺される事件があった。自分のバイクが違法駐車で撤去され罰金350ペソ(約900円)の違反切符を切られたことに腹を立てた警備員が、交通警官に発砲したのだ。

 さらについ最近も、一般企業に雇われた警備員が発砲事件を起こし、会社従業員4人が死傷する事件があったばかりだ。警備員はその会社で起きた100万ペソの窃盗事件で、関与を疑われていることに腹を立てて犯行に及んだらしく、無実を主張し最後は自分の拳銃で自殺した。

 この警備員が本当に関与していたのか不明だが、銀行強盗などで警備員が情報を漏らしているケースは実に多い。以前に銀行に務めていた警備員が、強盗となって舞い戻ってくることも珍しくないのだ。

 10月にケソン市の銀行の現金自動預払機(ATM)コーナーから現金240万ペソが奪われた事件では、銀行の元警備員が犯人として逮捕されている。この事件では、ちょうどATMの修理中に犯行が行われていたことから、当初からインサイド・ジョブ(内部犯行)が疑われていた。

(F)