多種多様な泡沫候補
地球だより
フィリピンでは来年の大統領選挙に向けた立候補の届け出が行われた。手続きが行われたマニラ市の中央選管の周辺は、立候補者の支持者や報道陣が集まり、お祭り騒ぎとなった。まだ解禁されていないにもかかわらず、まるで選挙キャンペーンのようである。
立候補者の届け出で名物となっているのが、多種多様な泡沫(ほうまつ)候補者たちだ。まるで買い物帰りのような格好のオバサンや、神の啓示を受けたという預言者。中には鉤(かぎ)十字を掲げ、自称「ヒトラー」を名乗るちょっと危ない候補者も。それぞれに立候補の動機など発言の機会が与えられているが、中にはまだ当選していないのに、感極まって泣いてしまう年老いた候補者の姿も…。
一方、有力候補者が届け出る日は、さながら選挙運動の予行演習である。与党自由党からアキノ大統領の後継者として出馬するロハス前内務自治長官の届け出には、黄色いシンボルカラーのシャツを着た支持者が中央選管周辺に集まり歓声を上げた。
このようなお祭り騒ぎの一方で、これから「裏」の選挙活動とも言える、政治的な暴力事件が多発する時期となる。特に中央政府の影響が及びにくい地方では、対立候補の暗殺のほか、共産ゲリラによる恐喝が横行するなど、治安が悪化するので注意が必要である。
(F)