混迷の大統領候補指名争い
層が薄い民主党陣営
乱戦模様で先見えない共和
【ワシントン】両党の大統領候補指名争いを混乱させる出来事が起きている。ヒラリー・クリントン氏の個人メールサーバーは連邦捜査局(FBI)の手に渡り、共和党の討論会は乱戦模様で先が見えない。そのため、競馬新聞第3版の印刷は急がなければならない。
法的放棄声明-このコラムの目的は何かを訴えることにある。以下は、主張の分析であり、クリントン氏のサーバーと同様、徹底的に精査してある。
ヒラリー・クリントン氏-出版した著書の評判は散々だったが、その後は、①大統領候補としては弱く②民主党の指名獲得は間違いないと思ってきた。
だが、それも過去のことだ。95%という誰にも邪魔できない高みにいたが、見事に転落した。メール問題による難しい状況ですでに信頼は大きく傷ついていた。今度はメールサーバーを手放さざるを得なくなり、今後、致命的なダメージとなる可能性が高い。それは、私的メールだと主張してきた3万2000通のメールがどれだけ削除できているかに懸かっている。
どういう結果になろうと、クリントン氏は指名争いを続ける。クリントン陣営は決して諦めない。しかし、さらに極秘情報が見つかり、仕事関連のメールを削除したことが分かり、支持率が下がり続ければ、党にとって負担となり、退陣を迫られることもあり得る。
オッズは1-3.
バーニー・サンダース氏-ユージーン・マッカーシー元大統領候補に似ているが、気まぐれで、重みがない。かっとなったり、穏和になったりで、当て馬としては最適だ。しかし、73歳、酪農州選出のブルックリン出身の社会主義者が勝つ見込みはない。クリントン氏が撤退すれば、ジョー・バイデン氏がその後を埋める。ジョン・ケリー氏となる可能性もある。
次いで共和党。
ドナルド・トランプ氏-独走状態にある。いずれ自滅すると思っている人もいるだろうが、そうはならない。打たれ強いからだ。失敗を争点に変え、スローガンを掲げる才能を持っている。
討論会後、支持率は頭打ちになり、一部では下がっている。ニューハンプシャー州では、20%台半ばから10%台後半に低下した。その上、討論会での振る舞いは粗野で、討論会直後にサフォーク大学がアイオワ州で実施した世論調査で回答者は、55対23の割合で、大統領にふさわしくないと思っていると答えた。
それでも、しっかりした組織的な支持があり、20%前後を維持している。ロン・ポール氏やロス・ペロー氏に似ている。ということは、立候補者が絞り込まれて、支持率20%がもはや高支持率でなくなるところまで、トランプ氏のリードは続く。
打たれ強く、支持基盤は強固だが、天井もある。党の指名を獲得する可能性はサンダース氏とほぼ変わらない。
ジェブ・ブッシュ氏、スコット・ウォーカー氏、マルコ・ルビオ氏-まだトップ層にいる。ウォーカー氏は討論会で現状を維持した。ブッシュ氏はわずかに低下した。少し消極的な印象で、驚いたことにいまだに「兄弟が起こした戦争」に関する質問にうまく答えられない。しかし、その後の外交に関する演説でもぶれることなく、全米共通学力標準、移民で自説を貫いている。党の現状に容易に影響を受けることはない。
ルビオ氏は、ゴールデンタイムの10候補による討論会で最もうまく立ち回った。流暢(りゅうちょう)で、熱意を感じさせ、その場を仕切っていた。ルビオ氏はその時すでに、「支持するなら誰か」という質問で62%を獲得し1位だった。17人もの立候補者がいる指名争いで大したものだ。
オッズは、ルビオ氏3-1、ブッシュ氏4-1。
テッド・クルーズ氏、ジョン・カシック氏、カーリー・フィオリーナ氏-新たな第2層。上昇している。クルーズ氏は討論会でよく目立ち、ポピュリストで、反ワシントン感情を持っていることを強く印象付けた。
カシック氏は、人を引き付ける力があり、説得力がある。情に流されやすい保守派で、なおかつ、強靭(きょうじん)な知事として評価が高い。手ごわい相手だ。
フィオリーナ氏は、有能であるところを見せ、皆を驚かせた。600万人が見ていた。話の歯切れがよく、教養もあり、闘争心も強い。クリントン氏、トランプ氏、バラク・オバマ氏を批判した。第2層にいるのは不運としか言いようがない。討論会では考えをしっかり伝えられていた。
この第2層のオッズは9-1。だが、どの候補ももっと伸びる可能性がある。
重要なのは、民主党陣営の層の薄さだ。クリントン氏の後には誰もいない。一方の共和党は、8人から10人の有力大統領指名候補が残るだろう。ヒスパニックが2人、女性でフォーチュン500に入ったことのある元CEO、アフリカ系の脳外科医らだ。
スペイン語がうまい白人男性が1人。スペイン語でサンダース氏かクリントン氏と対決ということもあり得る。
(8月14日付)






