混戦模様の共和党大統領選

Charles Krauthammer米コラムニスト チャールズ・クラウトハマー

ルビオ氏が好スタート

盤石な基盤のブッシュ氏

 【ワシントン】共和党の大統領候補指名争いは混戦模様だ。活気はあるが、10人が立候補を表明し、さらに6人がこれに加わるとみられ、秩序を守るために交通整理役が必要だ。

 私がその役を買って出たい。まず四つのカテゴリーに分類する。

 (A)最上層

 1、ジェブ・ブッシュ

 基盤はしっかりしているが、熱気は感じられない。8年前ほどの熱気は必要ないのかもしれない。しかし、他候補との違いをはっきりさせられないこと、最近陣営を再編成したこと、イラク進攻をめぐるメギン・ケリー氏の質問に対する答えでの失態のせいで、支持者らは一時的に冷めている。それでも、軍資金は豊富にあり、知事として実績があり、国内情勢に通じていることから、最上層の位置を依然として占めている。

 勝率、25%。

 2、スコット・ウォーカー

 アイオワ州で大幅リードを続けている。アイオワ州民とウィスコンシン州民との良好な関係ばかりが原因ではない。ウィスコンシン州知事としての確かな実績があり、資金調達も順調、この1カ月間、ミスはほとんどない。

 一つ心配なところがあるとすれば、率直な物言いをする割に移民問題への態度がはっきりしないこと。

 勝率、25%。

 3、マルコ・ルビオ

 幸先のいいスタートを切り、その後も順調だ。国外の問題に詳しく、オバマ大統領の外交の失敗から大きな利益を受けている。世論調査の結果はいいが、約7%は誤差の範囲内であり、重要な問題は、「誰が支持するか」よりも「誰があなたを支持できるか(一般に受け入れられる可能性)」だ。ルビオ氏は、74%でトップに立っている。ニューヨーク・タイムズ紙はその力を削(そ)ごうとし、資金の浪費についても批判してきたが、結果的には民主党がどれだけルビオ氏を恐れているかを示しただけだった。

 勝率、35%。

 (B)支持率は高いが勝算はない

 4、ランド・ポール

 多少大げさな感はあるが、通話情報の収集やプライバシーの権利について一貫した態度を取ってきた。しかし、国家安全保障をめぐってははっきりせず、共和党の中で対立している。世論調査では常に上位に位置し、自由主義者としては最も高い評価を得ている。しかし、自由主義はまだ、支配的な大きな力を持つには至っていない。敷居は近く、天井も低い。

 5、ベン・カーソン

 右に同じ。人気は高いが、新人としての大きな課題を抱えている。全国の資金管理責任者、選対副委員長、相談役は皆、この1カ月以内に辞めた。オバマ氏は新人でも勝てることを示したが、1952年以降、政治家以外から大統領は出ていない。

 (C)第2階層。上に上がる可能性がある。

 6、テッド・クルーズ

 この階層の最上位に位置し、上の階層に食い込む可能性がある。クルーズ氏に「投票しない」という人は16%しかいない。4000万㌦を調達したと主張しており、少なくとも初期段階では大きな存在感を示すはずだ。

 勝率、5%。

 7、ジョン・カシッチ

 個人的には、長い目で見れば大化けするかもしれないと思っている。ステロイド、情に厚い保守派、雄弁である点に関してはジャック・ケンプ氏に似ているが、ケンプ氏ほど堅物ではない。ここが問題となる可能性がある。「ブッシュ氏の資金は私のものではないし、ウェルズ・ファーゴのものでもない」と言っている間は面白いのだが、政策が合わない相手に対しては冷たい態度をすることがある。

 勝率、3%。

 8、カーリー・フィオリーナ

 選挙運動では、安定した強い支持を受けている。問題は、車とクリップボードだけでアイオワ州とニューハンプシャー州の党員にアピールできるかにある。さらに支持を得るには、討論会に参加する必要があるが、討論会に参加するには世論調査で上位10以内まで支持を増やす必要がある。22%は欲しい。

 勝率、2%。

 (D)第2階層。奇跡が起きれば、あるいは。

 9、リック・ペリー

 華やかなスタートを切った。話もうまく、見た目もいい。背中の手術をした直後には出馬すべきでなく、出馬には理由が必要であることを悟った。4年間にわたって調査し、準備は万端のようだ。

 10、クリス・クリスティー

 ブリッジゲートで痛手を受け、思想的にはブッシュ氏に追い込まれた。公的に支持してきた給付金改革でガッツを見せた。だがこれは、有権者が望んでいることであっても、票にはつながらず、一種の賭けだ。

 11、マイク・ハカビー

 給付金改革反対で一貫しているポピュリスト。社会保守層からの支持が強いが、米国の文化が左に傾いていることを考えれば、2008年ほど注目されない可能性がある。

 リンゼー・グラハム氏、ボビー・ジンダル氏、リック・サントラム氏は取り上げなかった。皆よく似ていて、資格も十分にあるが、まだあまり活動していない。

(6月12日)