フィリピンで大地震への危機感高まる
地球だより
このところフィリピンで再び大地震への懸念が高まっている、先日ネパールで起きた大地震に刺激されたようで、急に政府が地震対策を呼び掛け始めた。
マニラ首都圏はウエストバレー断層と呼ばれる活断層が、南北に縦断していることで知られている。しばらくこの断層を原因とする地震が起きていないため、そろそろ大きいのが来るのではないかという予測が、数年置きに浮上しては消える。このほどフィリピン火山地震研究所は、この活断層の位置を詳しく記した地図を公開。各自治体に地震対策を呼び掛け、断層近くにある学校や住宅地などには移転を勧めている。
この断層によってマグニチュード(M)7・2の地震が発生した場合、3万人の死者と10万人の負傷者が出ると予測されている。しかしM7・2といえば、阪神・淡路大震災に匹敵する規模の地震だ。マニラ首都圏全域が壊滅的な被害を受けるのは明らかで、断層に多少近いか遠いかを知ったところで、ほとんど防災には役に立たない感じもする。
といはえ、スラム街の違法建築だけでなく、続々と建築が進む高層マンションでさえ本当に耐震構造なのかは、実際に地震が起きてみないと分からない。政府もどこから手をつけていいか、分からないというのが本音ではなかろうか。記者が住む築15年超のマンションも大地震に耐えられるかは大きな賭けだ。
(F)