フィリピンでのローマ法王歓迎の熱狂


地球だより

 その熱狂ぶりは宗教指導者というよりも、ロックスターという表現がふさわしいかもしれない。フィリピンで老若男女を問わずに、これほど人気のある人物はいないだろう。まさに別格の歓迎ぶりで、この国がカトリック大国であることを改めて思い知らされた。ローマ法王のフィリピン訪問は20年ぶりのことだ。

 大手テレビ局は、朝から晩まで法王の主要なイベントを全て生中継。ニュースサイトのアップデートは、ほとんど法王関連で埋め尽くされ、社会が法王を中心に動いているといっても過言ではない。ちなみに訪問期間中の5日間は、政府の方針で特別休日となるなど、まさに国家的な歓迎ぶりで、法王の姿を一目見ようと、行く先々の道路に多くの群衆が押し寄せ、周辺の交通は麻痺(まひ)状態だ。

 大いに盛り上がっているが、ここに来て大きな懸念も。フィリピンに台風1号が接近しており、法王が訪問する台風被災地のフィリピン中部レイテ島が、悪天候に見舞われる可能性が指摘されている。カトリック教会が、天候が悪化しないよう祈りをささげることを信者に求めているが、果たして願いは届くのか…。

 カトリック教徒ではない日本人は蚊帳の外だが、日々の報道を見ていると、人々の熱狂ぶりが伝わってきて、何かうれしい気持ちになる。これを書いている時点で、法王のスケジュールはまだ半ばだが、無事に全ての行事を終えて、フィリピンの人々に大きな希望を与えてほしい。

(F)