移民流入で無策のオバマ氏
中米への送還実施を
国境警備の強化が必要
【ワシントン】いつものことだが、オバマ大統領は、国境の危機を広報の問題として扱っている。5万人以上の子供が単独で違法に国境を越えている。どう対応するのかはまだ明確にされていない。方針そのものがないのかもしれない。
これらの移民の滞在は認められるのだろうか。国土安全保障長官は「ミート・ザ・プレス」でこの問題について7回質問を受けたが、すべてに明確な回答をしなかった。
アーネスト大統領報道官は表向きは、はっきりしていた。「これらの子供たちの大部分は人道的対応を受けられそうにはない。…送り返されることになる」。これは、メディアでは強硬姿勢として伝えられた。まったくの的外れだ。この子供たちは、手続きを経ても、滞在する理由はないはずだ。しかし、大部分は手続きを経ることもない。
子供たちは国内の家族の元に、飛行機やバスで送り、国外退去審問に来るようにすべきだ。どうして審問なのだろう。最高の教育を受け、最高の医療、すべて最高のものが受けられるこの場所にとどまるだけではだめなのか。国境警備隊の内部資料によると、最終的に送還されるのは3%だけだ。
強制送還だ。これまでの苦労と、ひどい場所に送り返されることを考えれば、なんて残酷なと思うだろう。
だが、これは、大陸ならどこででも起きていることであり、送還が残酷だからだめだというなら、移民法は要らない。困難を抱えた人々の越境を拒否しなくていい。
だが、実際には拒否している。しなければならないからだ。その道を米国は選んだ。子供であれ、誰であれメキシコからでも、カナダからでも、不法移民は直ちに送還される。どんな道徳的論理で、中米だけが例外扱いになるのか。
論理など存在しない。法をゆがめているだけだ。性目的の人身売買を阻止するための2008年の法律だ。この法律は、中米の子供たちを一時的に収容し、手厚い支援と入念な移民・送還審査を受けさせることを義務付けている。これらは通常ならば受けられない。
この寛大な措置は、性的人身売買の被害に遭った一部の子供のためのものだ。米国に家族を送り込むことを狙った現在の大量移民のためのものではない。
この大量移民を止めるのは簡単だ。移民問題を真剣に考える大統領なら明日にも、議会に行って、法の改正を提案し、中米の子供たちがメキシコの子供たちと同様の扱いを受ける、すなわち、直ちに送還されるように求めるだろう。
その上で人道に配慮した対応をすればいい。設備の整ったバスを用意し、看護師、ソーシャルワーカー、通訳を付き添わせ、必要なものをすべて提供して、帰国させる。
最初の車列が中米の国々の町々を巡り始めれば確実に、移民の流入は止まる。
オバマ氏は、怠慢だとか優柔不断だとか非難されるようになると、中米からの難民への制度の不備を正すための法的権限を求めると言った。しかし、37億㌦の緊急支援を8日に提案した時、このような案は出されなかった。
それをしなければ、何万人もの子供が滞在し、さらに何万人が流入することになる。
どうして米国に来るのか。政府は、暴力と貧困がその原因だと宣伝している。
ばかげている。中米に暴力と貧困がなかった時がこれまでにあっただろうか。流入する子供の数はこの2年で2倍になり、10月までにさらに倍加すると予測されている。新たな要因としては、2012年6月のオバマ氏の一方的で違法な命令がある。何十万人もの不法移民の子供が入国するのを事実上合法化するものだった。
中米の人たちはこれを知らされた。確かに、この大統領令は07年6月15日以降の移民には適用されない。しかし、子供をすぐに越境させれば、滞在できる可能性が高いと思わせるに十分だ。
一方でオバマ氏は、今回の危機は共和党が包括的移民改革の成立を阻んだからだと非難した。
あり得ない話だ。今回の危機と移民改革は全く無関係だ。包括的改革が行われていても、今のような大量移民は防げなかった。実際には、改革によって1100万人の不法移民に恩赦が与えられると、入国してしまえば滞在が認められるという印象をさらに与えるだけだ。
移民改革を支持したことはある。恩赦を支持する。2006年からはそうだ。ただし、国境警備の強化が条件だ。
まず、メキシコ国境沿いのフェンスを完成させるべきだ。政府監査院(GAO)の09年の見積もりによると、それには66億㌦掛かる。オバマ氏は、その半分以上の額の予算を大量の移民を収容するために使おうとしているが、フェンスがあればこれは必要なくなる。
しかもフェンスはずっと使える。現在の移民危機に関して言えば、答えは明確だ。中米の例外をなくし、法を執行すべきだ。
これは避けられない。そうしないと悪夢はいつまでも続く。疑問があるとすればそれは、オバマ氏がいつ実行するかだけだ。






