新型コロナ ワクチン体験記 朝5時に「予約なし」で接種


 今月20日、ツイッターで大規模接種の「当日受付」があるらしいことを知った。それを偶然発見したのは大規模接種の予約サイトのキャンセル待ちを数時間も挑戦し続け、疲れ果てたときだった。

午前8時35分の自衛隊東京大規模接種センター 22日、東京都千代田区の大手町合同庁舎3号館、竹澤安李紗撮影

午前8時35分の自衛隊東京大規模接種センター 22日、東京都千代田区の大手町合同庁舎3号館、竹澤安李紗撮影

 当日受付とは、公式に発表されている情報ではなかった。しかし、ツイッターの情報では、予約なしでも、会場には当日受付の列があり、早朝から並ぶと200人程度は接種を受けられるという内容だった。

 17日から大規模接種センターで、18歳~64歳の接種が始まると聞いて、すぐに受けたいと思っていた。理由は五輪の取材のためだ。接種した方が五輪取材で有利になるかもしれないという狙いと、変異株による感染拡大の恐怖。何より、心疾患をわずらったことのある親と暮らす身として、早く接種したかった。

 記者の住む文京区では、接種券の郵送が7月以降の予定で、接種予約は7月21日から始まる予定だった。到底、五輪には間に合わない。記者は20日、同区役所の臨時窓口に2時間並んでワクチン接種券を受け取った。

 22日午前4時、家を出た。タクシーで会場に向かい、5時に会場に到着。当日受付は本当にあった。49番目だった。その日は5時40分ごろに当日受付分の人数に到達。一番早く来た人は、午前3時半ごろに着いたという。

 電車の始発が着くよりも前に来た人は、車で来た人が多いらしかった。締め切った後にも、200人以上が詰め掛けた。当日受付終了の看板を見て驚き、肩を落とし踵を返した。列に並ぶ人は年齢はさまざまだったが、40代以上が多い印象だった。

 換気された室内では、スタッフが十分過ぎるほど配置され、高齢者に配慮されていた。実際に接種したのは8時15分ごろ。会場到着からすでに3時間以上経(た)っていた。

 看護師は注射に少し怖がる記者を前に、緊張がほぐれるよう笑いで和ませてくれた。「一日で多くの人を相手にするのに心に余裕があるんだな」と、看護師らにプロフェッショナルを感じた。自衛隊の看護官か、民間の看護師かは一目では分からなかったが、感謝の気持ちを伝えた。

 注射は少しチクリとはしたが、本当に「痛くない」接種だった。当日、接種した左腕は少し痛む程度だったが、翌日は一日中左腕が痛んだ。それ以外は特に副反応は出なかった。モデルナ製ワクチンの接種間隔は、4週間。2回目の接種予約は7月22日にした。自衛隊をはじめ、自治体や政府、会場のスタッフの方々に心から感謝をしたい。

(竹澤安李紗)