軽食「パステウ」の美味しさーブラジルから
地球だより
ブラジルを代表する軽食の一つに「パステウ」がある。巨大な揚げギョーザとでも言えばよいのだろうか。小麦粉を練った生地を薄く正方形などに伸ばし、中に具を挟んで油で揚げる。それだけの料理だ。
実にシンプルだが、店によって生地や具材に工夫が施されており、有名店の前には行列ができることも。パステウ店を営む知人いわく、「小麦粉と水の配合や練り方は、その日の天候や湿度に左右される職人技」「油の始末や揚げ方のコツをつかむには何年もかかる」のだとか。
パステウの中身は、ひき肉と玉ねぎ、ゆで卵を混ぜ合わせたものやチーズなどが基本だが、店によってはピザ風味にしたり、海老(えび)や干物の魚、さらにはバナナやチョコレートを入れる店もある。バリエーションの多彩さもパステウ料理の醍醐味(だいごみ)といえよう。
さらに、ソースや付け合わせのサラダなど、同じブラジルでも地方によって流行があり、旅行の際にはその街々のパステウ店を訪れることが楽しみになっている。アマゾン川流域の街を訪れた際に食べた「幻の魚」ピラルクーのパステウは、今でも記憶に残っている。
また、パステウはサッカースタジアムでも人気の軽食だ。ハーフタイムに急いで小腹を満たすには、パステウとオレンジジュースなどの組み合わせはとても良い。
パステウの起源に関しては、日系人や華僑が広めたとか、ポルトガルの揚げ料理からヒントを得たとか、諸説ある。
ちなみに、記者のオススメは、パステウと一緒にサトウキビのジュースを注文することだ。独特の甘みがなぜかパステウに合う。機会があればぜひ試してほしい。
(S)