もはや「他人事」ではなくなった


地球だより

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、学校や公共施設の一時閉鎖、イベントの中止や延期が相次ぐなど、米国での生活も一変した。

 横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号が連日ニュースで取り上げられていた先月上旬ごろ、日本の状況について米国人から尋ねられたが、皆どこか他人事(ひとごと)のようだった。しかし、感染が拡大し、非常事態宣言もなされた今では、状況は様変わりした。

 筆者が初めて「異変」を感じたのは、先週だった。近くの大型小売店で消毒液やトイレットペーパーが消え、多くの棚が空になっていた。米や飲料水、缶詰、冷凍食品など保存の利くものも品切れ、品薄となっていた。

 家に閉じ込められる生活が続く「長期戦」に備えて、多くの人が買いだめに走っている。また、店内では、買い物カートを使用する前に手すりをウエットティッシュで消毒するように求められたり、レジの担当者がゴム手袋を装着するなどいつになく緊張感が漂っていた。

 筆者が先月末に取材した政治集会に新型コロナウイルスの感染者が参加していたことが分かり、肝を冷やした。その後、その感染者は筆者とは別の日に参加していたことが分かりひとまず安心したが、ウイルス感染の危険が身近に迫っていることをひしひしと感じた。

 国や各州が対策に本腰を入れる中、しばらく緊張を強いられる生活が続きそうだ。しかし一時的には不自由であっても、こうした対策により、早く収束に向かうことを願っている。

(Y)