牛肉の価格高騰に怒り心頭


地球だより

 ブラジル人が怒っている。理由はサッカーワールドカップ(W杯)でブラジル代表が優勝を逃し続けていることではない。ブラジル人が愛してやまない「牛肉」のことだ。

 先月末、妻が近所にある精肉店の買い物から怒り心頭で帰ってきた。なんでも、牛肉が信じられないほど値上がりしていて、予算オーバーしてしまったというのだ。どれだけ値上がりしたのかと聞くと、なんと3~4割もの上昇だという。

 「中国への牛肉輸出が始まったので、近日中に牛肉が値上がりする」とニュースで言っていたのを思い出した。ブラジル人の知人に聞くと、今回のような大幅な値上がりは、数十年前の超インフレ時代以来のことだという。

 日本であれば、牛肉が高ければ、鶏肉や豚肉、魚類を食べればいいと思うが、ここはブラジルだ。牛肉は生活に密着しており、週末には家族や親族、友人が集まってシュラスコパーティーなどをやるのがブラジル流だ。

 一方、牛肉の値上げで市井が騒いでいるのを見て、記者が憂慮したのが、アマゾンの違法伐採だ。牛肉がここまで値上がりすると、必ず一獲千金を狙う者が出てくる。事実、知人の牧場主に聞くと、彼の周りでは「牛の放牧に使える土地を手に入れたい」という他の牧場主や、牛の生産を新規事業として考えている投資家が増えているのだという。

 牛肉の輸出が経済活性化につながるのは結構な話だが、来年早々、「アマゾンの違法伐採が過去最悪に」などというニュースを見ることがなければよいと心配している。

(S)