英離脱延期「最長3カ月」 EU合意、前倒しも可能


 欧州連合(EU)は28日、ブリュッセルで開催した大使級会合で、今月31日に迫った離脱期限について、最長で来年1月末まで3カ月延期し、状況によっては前倒しも可能とすることで合意した。29日か30日に正式決定する見通しで、延期はこれで3度目。今月末の「合意なき離脱」は回避される見通しとなった。

トゥスク大統領

欧州連合(EU)のトゥスク大統領=22日、フランス・ストラスブール(EPA時事)

 公表された離脱延期の合意文書案によると、英・EUで合意した新たな離脱案が双方の議会で承認され、批准手続きが完了し次第、英国は11月末、12月末、来年1月末のいずれかをもって離脱し、翌月1日から離脱協定が発効するとしている。

 トゥスクEU大統領は会合終了後、ツイッターで「英国が求めた来年1月末までの柔軟な延期を認めることで一致した」と強調するとともに、正式決定は「書面手続きで行う」ことを明らかにした。

 前日、フランスの外交筋は、マクロン仏大統領とジョンソン首相が離脱期限延長について電話会談を行い、1月31日までの延期についての「合意は大いにあり得る」と述べていた。マクロン氏は一方で、英議会が離脱期限延期の方向に動いたことについて「それ相応の合理的理由と期限を英国は示す必要がある」と語り、英議会に圧力をかけていた。

ジョンソン首相

英国のジョンソン首相=28日、ロンドン(AFP時事)

 延期決定にはEU加盟国の全会一致が必要なため、フランスは慎重な立場を取っていたが、総選挙実施をめぐる英側の動向などを踏まえ容認に転じたとみられる。

 今後の焦点は、延期容認を受けて英国で総選挙が実施されるかどうかに移る。ジョンソン英首相は12月12日の投票実施案を示した。しかし野党・自由民主党は12月9日実施を逆提案しており、選挙が実施されるかどうかは予断を許さない。延期後の道筋はいまだ不透明だ。

 合意文書には新離脱案の再交渉には応じないことが明記されており、英議会内の離脱案修正の動きにEUは神経を尖(とが)らせている。

(パリ安倍雅信)