渋滞を逆手にビジネス
地球だより
渋滞都市としては世界有数のバンコク。通勤にもかかわらず往復でほぼ半日、車の中にいる人もいるほどだ。
それでも、バスや電車を乗り継いで座ることもままならない通勤よりましという人は多く、車での通勤がステータスと考える人も少なくない。
その渋滞が、バンコクで新しいビジネスをもたらしている。
渋滞が起きるのは、人や車が集まる町の中心部が多く、渋滞にはまれば、車はのろのろ運転を余儀なくされる。新ビジネスは、その環境を活(い)かして車を走る広告塔にしてしまおうというものだ。
一昔前、東京などで広告で覆われたアドトラックが見受けられたが、バンコクの新ビジネスは、募集した一般ドライバーの車を活用する。応募したドライバーは、指定された代理店で自分の車両を2時間程度でラッピングしてもらい、決められた時間を自由に走り、その報酬を頂くというものだ。
渋滞時間が、お金に変わればドライバーのいらいらも軽くなろうというものだ。
広告効果をどう判断するかというと、GPS機能を活用し契約車両がいつどこを走っているか即時に判断、ドライバーへの報酬は走行距離や時間、ルート、周囲を走る自動車の数などを総合的にAI(人工知能)で弾(はじ)き出して査定。基本的に渋滞度の高い場所ほど、多くの報酬が得られるシステムになっている。
報酬は多い人で月1万円程度だが、余り高くなると一儲(もう)けしようと、渋滞を求めてラッピングカーが殺到するため、渋滞に拍車を掛けることが懸念される。サイドビジネス的な報酬が適当だ。
(T)