“紫の桜”咲くハラレ
地球だより
ケニアからジンバブエの首都ハラレに降り立ったのは10月の半ば、南半球に位置する現地では冬から春に向かう時期だ。アフリカらしく低めの建物が多いこともあって、思った以上に空が広い。交通渋滞で日々悩まされたナイロビと比較すると、随分と道が広く、車の数も少ない。
大きな道路の両脇には紫の花を付けるジャカランダが乱れ咲く。時期といい葉を付けずにモクモクとした雲のような咲き方といい、まるで日本の桜のようだ。
ジンバブエはかつて英国の統治下で南アフリカやザンビアと同様に発展していた。独裁政権を経てハイパーインフレも経験した。観光地近くでは100兆ジンバブエドル札が記念品として販売されている。場所によってはいまだに通貨として使用することもできるようだが、現地での価値は二束三文といったところ。
街歩きがてら、開場14時と書いてあった野外ゴスペルコンサートに行ってみたところ、実際の開演は18時だった。まさにアフリカンタイム。
また、ある朝、宿泊先から某国大使の邸宅付近を散歩していたところ、道端ではスカーフのような薄い布にくるまって寝ている家族がいた。車を何台も持ち、家の周りに24時間警備員を配置している屋敷のそばで屋根のないところで、一夜を明かす人もいる。
朝日が昇り、強烈なコントラストに照らされた薄紫の花を眺めながら、日本との違いに思いを馳(は)せた。
(Y)