スマホから離れて夏休みを楽しもう

NPO法人子どもとメディア常務理事 古野陽一氏

 シンポジウム「スマホから離れて、夏休みを楽しもう」がこのほど、東京・本駒込の日本医師会会館大講堂で行われた。「大人は知らない?!子どもたちに見えるスマホ社会の風景」と題して、NPO法人子どもとメディア常務理事の古野陽一氏はメディア漬けの子供に、どのように対応していけばよいのかについて語った。

ネットは大人の裏社会を反映、制限解除は約束を積み重ねて

スマホから離れて夏休みを楽しもう

NPO法人子どもとメディア常務理事の古野陽一氏

 買い物、動画投稿、いかがわしい動画、異性交流など、さまざまなサイトがあるが、利用契約・権利帰属の中で「本サービスの運営、改善、宣伝広告に必要な範囲で、無償で利用、複製・複写・改変・第三者への再許諾、その他のあらゆる理由を含みます」とある。アプリに投稿された情報は文章、画像、動画など、投稿した本人に知的財産権はあるが、著作権は完全にサイト側でも共有されている、と言っている。つまり、個人情報は守られず、カネ目的に転売されたり、使用されるということ。

 ネット使用で未成年者が犯罪の加害者側になった時、法的な問題を起こした時、社会的な問題で、人に迷惑を掛けた時、経済的・お金で迷惑を掛けた時など、未成年は基本的に独りでは責任が取れない。保護者が責任を取るしかない。保護者が責任を取れない状況、保護者が責任を把握していない状況は無責任としか言いようがない。子供も、何かあった時のために親に知ってもらっておくことが重要だ。

 スマホって難しい、断然、子供の方が詳しい、と考える保護者が多い。難しい理由は、いろんな事、いろんな機能が付いているから難しい。スマホは100万種類以上用途がある。知らない用途がいっぱいある。保護者側から言えば、「連絡用」で、通話機能とショートメールが使えれば十分だ。スマホやネットは「必要な事に必要な分だけ使う道具だ」という意識を持つことが第一だ。最初かフリーに使っていたものを、途中から制限を掛けると、子供は「なぜだ!」とキレる。

 子供にスマホを持たせるなら、最低1週間、通話しか使わない設定にする。スマホは徹底的に機能をオフにしていける。何が必要なのか、子供にしっかり、考えさせ、一つだけ、機能をゆるしてあげる。親が分からなかったら「その機能って何? 何で? 目的? 必要?」と会話の入り口にする。一つの約束が守れたら、次の機能へ進むという習慣を付ける。

 一昔、二昔前だったら、幼少期に隣近所のおじちゃん、おばちゃんたちが、声を掛けてくれ、時々、遊んでくれる、悪い事をしたら、叱ってくれる、そうした信頼できる大人の社会があった。小学校だったら、PTAとか、子供会だったり、スポーツ少年団のコーチとか監督だったり、信頼できる大人がいた。

 子供たちが成長する以前に接するネット社会というものは、不健康、犯罪、猥褻(わいせつ)、欲望、陰謀、中傷、暴利といった、大人社会の裏の部分、醜い部分が満載されている。幼児とか小学生の段階で、すでに触れてしまっている。大変なことだ。