東大とベネッセが共同で実態調査

 子供の自己肯定感は成績と勉強の好き嫌い、将来の目標のある・なし、保護者の考え方、などに左右されることが分かった。これまで、自己肯定感の低さが指摘されてきた日本の子供に対する実態調査が行われ、このほど、東京大学社会科学研究所(東京都文京区)とベネッセ教育総合研究所(本社:岡山県岡山市)によって結果速報が発表された。成績が上昇したり、勉強が好きになったり、将来の目標がはっきりした子供は2年間の追跡調査で自己肯定感がアップしていた。

保護者や先生の働き掛けで高くなる子供の自己肯定感

 子供の生活と学びに関する親子調査は、全国の小学1年生から高校3年生までの子供とその保護者を対象に行ったもの(小学1年生から3年生は保護者のみ回答)。調査は、約2万1000組の親子を対象に、第1回が2015年7月から8月まで、第2回が2016年7月から8月まで、第3回が2017年7月から9月までの計3時点で実施し、2年間における子供の「自己肯定感」の変化を明らかにした。

東大とベネッセが共同で実態調査

 小学校4年生から高校3年生で、肯定感を測る質問として「自分の良いところが何かを言うこと」に対して「できる(とても、あてはまる+あてはまる 肯定)」55・3%、「できない(まったく、あてはまらない+あてはまらない 否定)」43・4%、2年の間に、自己肯定感が「肯定→否定」(16・9%)、「否定→肯定」(17・3%)、「不安定」(14・5%)と変化した子供が約5割。「ずっと肯定」(31・1%)、「ずっと否定」(20・3%)だった。

 成績が下位からアップした子供のうち、自己肯定感の否定から肯定に転じたと回答したのは22・0%に達し、自己肯定感を維持していた子供と合わせると51・2%だった。それに対し、成績が上位からダウンした子供のうち、自己肯定感が肯定から否定に転じたのは20・5%で、成績の上昇・低下で自己肯定感が大きく変化する子供が2割いることが分かった。同様に「勉強の好き嫌い」「将来の目標」と自己肯定感の間には相関関係があった。

 自己肯定感の変化は「学校での成績の上昇」「勉強が好きになる」など勉強に対する意識の変化が関連しており、特に自己肯定感と関連が見られた。「将来目標の有無」について、将来の目標が明確になった子供の多くが自己肯定感を高めている。また、クラスや友達に愛着を感じるようになった子供は自己肯定感が高まっている。教師は子供が意識を変えられるような動機付け、働き掛けが今後必要になってくる。

 保護者に対して「努力すれば大抵のことはできるか」との問いに対して、「とてもそう思う」と回答した保護者の子供のうち、自己肯定感が「肯定」の比率は60・5%だった。そのほか、「まあそう思う」では56・5%、「あまりそう思わない」では51・0%、「まったくそう思わない」では44・7%。保護者が「努力の効果」を感じているほど、子供の自己肯定感が高いことが分かった。調査結果について東大の研究所は「自己肯定感は、クラスや友達関係も重要な役割を果たし、保護者の意識や関わりも影響している」と分析している。