カラオケが招くトラブル


地球だより

 無類のカラオケ好きで知られるフィリピン人。誕生日や飲み会だけでなく果ては葬式まで、人が集まる所に歌声が響くのはこの国の日常的な光景だ。

 しかし、時にはその熱唱がトラブルを招くことも少なくない。

 このほどマニラ首都圏からほど近いブラカン州で、女性が隣人に銃で撃たれて死亡する事件があった。警察の調べによると被害者の女性は当日、友人たちと一緒にカラオケを楽しんでいたが、あまりの騒音に腹を立てた隣人の男が歌をやめるように頼んだにもかかわらず、これを無視した。

 しばらくすると男はまた戻って来て家のドアをノックし、出て来た女性を問答無用で射殺したという。

 フィリピンではドゥテルテ大統領が深夜のカラオケを禁止する方針を示しているほか、各地でも条例で独自にカラオケ規制を導入している地域もある。

 避暑地として有名なバギオ市では、夜10時から朝5時までのカラオケを禁止する条例が導入された。警察に通報してもカラオケをやめない場合は、罰金や6カ月以内の懲役が課せられるという内容。しかし、誕生会やお祭りがある場合は許可を得ることでカラオケを楽しむことができる。

 何でも楽しむ陽気なフィリピン人だが、その一方で相手の立場で考えたり、否定的な意見を受け入れることが苦手という側面もある。

 カラオケをめぐるトラブルからも、そんな国民性が垣間見える。

(F)