平昌五輪閉幕、最多メダル「東京」へ繋げよう


 平昌冬季五輪が17日間にわたる熱戦の幕を閉じた。日本選手団は史上最多の金4、銀5、銅4の計13個のメダルを獲得。斎藤泰雄団長は「最強のチームジャパンであることを実証した」と評価した。

 選手、関係者らチームジャパンの健闘を称(たた)えたい。そして、この勢いを2年後に東京で開かれる夏季五輪へ繋(つな)げたい。

集中的な強化方針が結実

 開幕当初は、国際オリンピック委員会(IOC)が北朝鮮の参加を特例として認め、金正恩朝鮮労働党委員長の実妹、金与正氏らによる微笑外交が展開された。政治的な思惑が前面に出る異例の幕開けとなった。

 しかし競技が始まると、選手たちの活躍に人々の関心は集中し、五輪本来の姿になっていったようにみえる。そして、世界各国から参加した選手たちが、その日のために鍛錬を重ねてきた技と精神力を競い、自分の限界に挑戦し、試合後はお互いに健闘を称え合う姿を見て、やはり五輪には特別な感動があると実感したのではないか。

 2015年に文部科学省の外局としてスポーツ庁が創設され、国が選手強化を主導するようになった。重点を置いてきたスピードスケート女子、フィギュアスケート男子などでメダルを獲得し、集中的に強化する方針が実を結んだ。

 中でも日本勢の躍進の原動力となったのが、金3、銀2、銅1を獲得したスピードスケート。前回ソチ五輪でのメダルゼロという屈辱をばねに強化体制を構築し、ナショナルチームを結成して取り組んできた。

 女子団体追い抜きでは、ライバルのオランダから指導者を招いた。個人の成績では上の強豪オランダを破っての金メダルは、チームワークの勝利だった。その「一糸乱れぬ隊列」は芸術的とも言えるもので、世界を驚かせた。

 そして、世界を感動させたフィギュア男子の羽生結弦選手のソチに続く連覇。初出場の宇野昌磨選手と金銀を獲得し、フィギュア史上に残る快挙を成し遂げた。ほかにも初のメダルを獲得したカーリング女子など、感動的な場面の多い大会だった。

 日本選手の強さだけでなく、美しさも光った。美しさの基本はフェアプレー精神にある。スピード女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手と3連覇を逃して銀メダルとなった韓国の李相花選手との友情など、日ごろ日本には厳しい韓国マスコミもその美しさを称えた。

 日本選手団の山下泰裕副団長は「たすきは確実に20年東京五輪に受け継がれた。この勢いを大事にして全力を傾けたい」と語っている。スピードスケートのナショナルチーム結成について「20年に生かせるところがあると思う。夏と冬が協力し合って成果を共有する形を大事にしていきたい」と語った。

選手が集中できる環境を

 もちろんメダルがすべてではない。東京五輪では、世界の選手たちが気持ちよく練習と競技に集中できる環境を整え、各国からの観戦者にいい思い出が残せるようにしたい。夏の暑さ対策など「アスリートファースト」に徹し、平昌の経験も参考に準備を進める必要がある。