名護市長選と「赤旗」、米軍機事故などで必勝態勢
自公の選挙対策に歯ぎしり
「稲嶺ススム市長必勝へ6党が勢ぞろい」(見出し)。共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(1・28)は、沖縄県名護市の市長選で3選に挑んだ稲嶺進市長の街頭演説(同27日)に「日本共産党、立憲民主、民進、自由、社民の国政5野党と、沖縄社会大衆党の党首・幹部がそろい踏み」したと、志位和夫共産党委員長ら6党からの応援を写真付きで報じた。
また、同じ1面に「暴言ヤジ・松本副大臣の辞任 『赤旗』報道で官邸動く」(見出し)との記事で、「松本文明内閣府副大臣が沖縄県での相次ぐ米軍機事故をめぐって『それで何人死んだんだ』との暴言ヤジを飛ばして辞任した問題について、地元紙・琉球新報は27日付1面トップで報じるとともに、暴言ヤジの『しんぶん赤旗』の報道を機に官邸が松本氏の辞任へと動いたことを伝え」たと述べ、「沖縄タイムスも27日付1面で松本氏の暴言ヤジと辞任を報道」したと紹介した。「赤旗」と地元2紙の連携も上々だったようだ。
米軍機事故、副大臣辞任、これを大々的に叩(たた)く「赤旗」と地元マスコミ、6党の結集、辺野古移設反対で前回大勝している現職・稲嶺市長への応援といった「オール沖縄」の必勝態勢の形ができていたといえよう。街頭演説の記事では、「一方、自民党候補の陣営は同党の山本一太参院議員が街頭に立ち『もう背中が見え、並ぶところまで来た』」と述べたと書き、まだ優勢との認識がうかがえる。
今回の名護市長選を「赤旗」は、告示日の1月28日付、投票前の2月3日付の1面トップをはじめ、投票日の2月4日付まで1面ほか複数のページで連日扱っている。
2月2日付になると1面に「共産党が全国の支援訴え」の見出しで危機感をにじませた。「安倍政権は、国家権力総動員で企業・団体締め付けを強化し、自民党候補を推薦する公明党・創価学会が全国動員で地域の集票活動の先頭に立ち、デマとごまかしの戦略で票を奪いにかかっています」と、地域経済を訴える自公側の選挙対策に歯ぎしりするように訴えた。
また、小泉進次郎自民党筆頭副幹事長は3000人動員した、現地入りした自民党議員は100人を超えたなど、自公側の動きを気にしながら、稲嶺氏が勝つかどうかは「相手陣営を上回る猛奮闘にかかって」いるとして「共産党は全国に支援とボランティアを呼びかけ」た。
負けた選挙結果は6日付1面で3番目の扱い。敗因を辺野古の「争点隠し」や「安倍自公政権挙げた異常なテコ入れと組織動員」のせいにしている。「争点隠し」に対して、同紙は「自民候補の辺野古新基地推進は明白」(1・31)、「稲嶺さんは基地拒否鮮明」(2・1)など訴えたが、長い問題だけに地元では周知ではないのか。
また、「オール沖縄」で存在感があるのは共産党であることも、メッキがはがれたようなものだ。今回の市長選で稲嶺氏の1万6931票は、前回より2908票減らしており、相応の有権者が基地移設反対以上に経済を優先したと言える。
編集委員 窪田 伸雄