就任当時の初心を最後まで大統領は守れるか
韓国紙セゲイルボ
「私はきれいで透明で有能な政府を必ず作って、国民の皆様の信頼を得ます」
「大統領から信頼を受ける政治を率先垂範してこそ真の政治発展が可能です」
前者は朴槿恵(パククネ)前大統領の就任の辞で、後者は文在寅(ムンジェイン)大統領のものだ。2人共、国民の信頼を強調しているが、すでに片方は転覆した状態だ。何が彼女を失敗した大統領にしたのか。就任当時の初心を失ったせいだ。
文大統領は朴槿恵の前轍を踏んではならない。選挙で40%台の支持を受けたが「100%大統領」の道を歩かなければならない。「国民皆の大統領になる」という就任の辞は必ず守られなければならない。それには包容が必須だ。自身に票を入れなかった国民と政治勢力を抱きしめるリーダーシップを見せるべきだ。
文大統領は国民大統合を何度も強調したが、疑いの眼差(まなざ)しを送る人が相変らず少なくない。積み重なった悪弊の清算を叫ぶ彼の声を憶えているからだ。旧態を根絶することは当然必要だが、それは法と手続きにより司法的に断罪すれば良い。過去より国の未来がより重要だ。文大統領は裂けた国論を統合して、新しい大韓民国を建設する歴史的課題にこそ深く悩むべきなのだ。
文大統領は、「退任後は故郷へ帰って平凡な市民になる」と語った。われわれはまだ一度もそのような大統領を持つことができていない。歴史に誇らしい大統領として残るかどうかは就任時の初心を最後まで守れるかどうかにかかっている。
(裵然國(ペヨングク)論説室長、5月12日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。