まだあった警官の恐喝事件


地球だより

 昨年10月に警官によって自宅から連れ去られた韓国人ビジネスマンが警察本部で殺害され、フィリピン社会に大きな衝撃を与えているが、別の韓国人も警官に拉致されていたことが明らかとなり、警察に対する失望が広がっている。

 新たに浮上した事件は昨年12月に、韓国人ビジネスマンが誘拐されたのと同じパンパンガ州アンヘレス市内で起きた。警官7人が捜査令状なしに違法ギャンブルの捜査を主張して韓国人3人が滞在する民家に押し入り、ゴルフクラブや宝石などを強奪。さらに韓国人たちを警察署に連行し、解放と引き換えに多額の現金を要求したという。

 警察本部への報告が遅れたことに関して現地警察は、被害者が警察に通報せずに韓国大使館に相談したからだと弁明しているが、意図的に隠蔽(いんぺい)していた可能性もありそうだ。事件に関与した警官たちは解任され、取り調べを受けている。

 麻薬などの犯罪撲滅を推し進めるドゥテルテ大統領だが、犯罪者を取り締まる立場の警官が依然としてこの体たらくでは、国家警察の信頼回復は難しそうだ。当初、6カ月で終わらせると豪語していた麻薬撲滅も、なかなか終わりが見えない状態にある。

 弱い立場にある外国人を相手に、何度も同じ手口を繰り返しているところに悪質さを感じるが、こうして明らかになるのは氷山の一角なのかもしれない。

(F)