子宮頸がんワクチンの影響を部活練習の痛みと混同


予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(2)

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全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会神奈川県支部の発足に当たり記者会見する山田真美子さん(中央)と池田利恵「連絡会」事務局長(右)=10月15日、横浜市庁舎

 神奈川県横浜市は、横浜市立大学医学部の「子宮頸がん予防プロジェクト」の影響もあり、子宮頸(けい)がんワクチンの接種率が76・5%(平成23年2月~25年3月)と比較的高く、接種対象年齢は、中学1年から高校3年までと広い。

 神奈川県健康危機管理課によると、県全体の被害者数の届け出人数は18人。横浜市だけの人数は公表されていないが、「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」(池田利恵事務局長、以後「連絡会」)にコンタクトしているだけで6人いる。

 横浜市内に住む山田真美子さんの娘さんも、中学2年で同ワクチンを接種した一人。一昨年8月に1回目を接種し、1カ月後に2回目、昨年2月に3回目を打った。

 中学で剣道部に入り、部活を通じて体を鍛えていた。ところが、接種から半年後くらいから膝が痛みだした。

 だが、山田さんは、以前、部活で痛めた場所だったので、何かの拍子で痛くなったに違いないと判断。

 「そんなことで弱音を吐いていたんじゃ強くなれないわよ!」と一層、練習に励むよう押し出してきた。 娘さんも、そう言われると頑張らなければいけないと気持ちを奮い立たせ、練習に向かったが、痛みは確実に強くなっていった。

 苦慮した揚げ句、山田さんは、11月半ば一緒に最寄りの病院を訪ねた。検査をすれども何も異常な数値はなく、「母子の間の精神的な問題が原因」と言われた。

 山田さんは、娘に発作のような不随意運動が出ていて、納得がいかない点があったが、精神治療を受け入れることに決めた。「子供は部活に精を出し、親子の対話も少なく悩みを抱えていたのかもしれない」という気持ちがその決断を後押しした。

 知人から「子宮頸がんワクチンの影響ではないか」とアドバイスされたが、接種から時間もたち、病院から「心因的てんかん発作」という病名を言われていたので、ワクチンの副反応とは思わなかった。

 そうした矢先に、山田さんは今年の5月、テレビで、娘が苦しんでいるのと同じ不随意運動をする女の子の姿を目にし、やはり子宮頸がんワクチンの影響だと確信。

 直ちに、「連絡会」と連絡を取り行動を共にするようになった。今は、10月に発足した「連絡会」神奈川県支部の代表を務めている。

 テレビ報道のタイミングが少しでもずれていれば、精神治療に行かせていたところだった、という。

 だが、「連絡会」には、当初、ワクチンが原因と気付かず、医師に勧められ、自分の娘が精神病棟に入り、薬漬けになっている、と連絡してくるケースも出ている。

 「娘がワクチン接種した時に、厚労省ではすでに1233件もの副反応報告が上がっていることを後で知った。こうした情報がきちんと公表されていれば、打たなかった」と山田さん。

 政府が副反応に関する報告をきちんとしてこなかったことに大きな疑問を抱いている。

(山本 彰)