最後の「プレス民主」、新党結党を呼びかけて幕

改憲阻止・反安保法のため

 民主党の機関紙「プレス民主」を見るのも今月が最後である。3月4日号1面見出し「民主・維新合流を合意/安倍政権の暴走を止め、政権交代可能な政治を実現する」、3月18日号1面見出し「新党に向け党内手続きと議論を加速/政権交代可能な政治勢力をつくる」――。

 岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表が2月26日の会談で合意した新党結成を受けた記事・写真が4日号に、両党合意を受けて同29日に開かれた民主党全国幹事長会議の記事・写真が18日号に載った。この記事の文末に14日発表の「新党名案」として「民進党」を何とか押し込んでいる。「プレス民主」は月2回発行なので「民進党」をこれ以上扱うことはない。あとは結党後の4月から機関紙名ともども新体裁になろう。

 18日号1面には「党員・サポーターの皆様へ」として岡田代表が新党結成・党名変更へ理解を求めている。ところで、共産党の「国民連合政府」構想に反発した議員らが昨年、解党・新党結党論を主張したが、「民進党」はそのような展開の新党ではない。むしろ、安保関連法廃止法案を共同提出した民主、維新、共産、社民、生活の5野党合意に立つ党だ。

 同廃止法案を提出した5党首会談を4日号は取り上げ、「合意内容は、①安全保障関連法の廃止と集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の撤回を5党の共通目標にする②安倍政権の打倒を目指す③国政選挙で現与党とその補完勢力を少数に追い込む④国会での対応や国政選挙などあらゆる場面で5党のできる限りの協力を行う」と記している。

 18日号の「党員・サポーターの皆様へ」は、この安保法廃止のための5野党合意の趣旨に沿っている。特に、参院選で「改憲勢力が3分の2を占めることになれば、安倍総理が憲法9条改正に踏み込んでくる」との「暴走」を理由に、「立憲主義、平和主義、民主主義を守るため」新党を結成して民意の「受け皿」をつくると訴えており、安保法廃止・改憲阻止で理解を求めるところに、発足する民進党の性格を象徴していよう。かつて「護憲」路線で自民党に対抗した社会党に通じるものがある。

 また、12年末に野田佳彦首相は党分裂で離党者が続けば民主党が持たないとみて衆院解散を急いだ。民主党政権を窮地に追い込んだ造反組の松野氏らが再び合流するのは、決裂して再合流した社会党左右統一(1955年)に似た展開だ。

 その社会党(現社民党)を見限るように起きた労働界再編に連動した民主党の結党から20年。自民党を割って出た保守政治家や新党出身者らを多く迎えて1度は政権交代を果たした党名にピリオドを打つ。が、「民主党」はオーソドックスで悪くない党名だ。党名より政権の座で抗争した議員らに凋落(ちょうらく)の原因がある。バラバラにした同じ人々が結集を言う矛盾はないのか?

 参院選はじめ選挙の結果次第では、早晩、「民進党」内に不満が渦巻き、誰かが民主党を再興するかもしれない。

 解説室長 窪田 伸雄