行き過ぎた警官ごっこ
地球だより
最近、警官の格好をした子供が拘束されたというニュースが世間を騒がせている。ただの警官ごっこならほほ笑ましいニュースなのだが、本物の警官をまねて、大人相手に恐喝まで行っていたというから驚く。
保護されたのは12歳の少年で、当然背丈は小さく、まるっきり子供だが、かなり本格的な警官の制服と帽子を着用し、腰には模造の拳銃と手錠まで装備するこだわりぶり。この格好でマニラ首都圏の幹線道路に立ち、交通整理をしている姿がたびたび目撃されていた。
ここまでならちょっと行き過ぎたコスプレで済みそうだが、付近を通るバスやタクシーの運転手から、少年に違反切符を切られ、これを見逃す見返りに賄賂の支払いを要求されたという苦情が報告され、警察が動く結果となった。
拘束された少年は、警官を助けるための「オペレーション」を行っていたと主張しているという。彼の身柄は市の青少年施設に移され、警察が両親の所在を確認しているが、マニラ警察本部の敷地で生活していたとの情報もあり、かなり警官に憧(あこが)れていた様子だ。
子供は社会を映すかがみというが、こんな小さい子供にとっても警官は、権力を使って汚職にいそしむ職業だというイメージが浸透しているのに驚く。この致命的なイメージを覆さない限り、警官が市民の信頼を得ることは、なかなか難しそうである。
(F)