北の「遺憾」表明で武力衝突回避
韓国紙セゲイルボ
一触即発から対話へ決断
4日、非武装地帯(DMZ)南側地域で発生した地雷爆発事故を契機に南北高官接触が行われ、4日間にわたる徹夜の交渉で武力衝突は回避された。この中で注目しなければならない部分は現在の対立局面を解消するためにどんな妥協がなされたのかという点だ。
最近の危機状況で韓国が北側に明らかに要求したことは地雷爆発事故に対する北朝鮮の責任ある謝罪と再発防止約束だ。一方、北朝鮮が韓国に執拗(しつよう)に要求したことは対北朝鮮心理戦放送の中断だった。
合意内容の文言を見ると、北朝鮮の要求事項ははっきりと貫徹されたが、韓国が要求した事項は満足な水準とはいえない面がある。すなわち対北朝鮮放送は「中断」することにしたのに対し、北朝鮮の謝罪と再発防止約束は「遺憾」表明に終わったためだ。
ただし、事件発生初期から北朝鮮が「自分たちの仕業でない」と否認した点を勘案するならば、「北朝鮮の謝罪」という明白な文句の代わりに「北朝鮮の遺憾表明」という線で妥協がなされたと解釈される。
また一つ注目が行く点は南北当局会談、離散家族対面、民間交流活性化など、今後の南北関係改善のための一連の内容が含まれているという点だ。
これは今回の高官接触で、南北当局が当面する懸案を解決することだけに終わらず、今後の関係改善のための踏み石を置く努力したことを見せるものだ。
南北高官接触がこのような妥結に達したという事実が持つ意義は非常に大きい。南北双方の武力を軍事境界線一帯に最大限度で結集させるという一触即発の瞬間であったにもかかわらず、南北当局が対話と妥協を通じて、解決策を模索しようとする政治的決断を下したという事実だ。
そして4日間にわたる粘り強い交渉を通じて、南北はともに一方では自身の主張を貫徹しながら、他方、相手側の要求も一定程度受け入れる余裕を見せたという点だ。
このような政治的決断と交渉態度は今後類似の状況が発生する場合、事態解決のための指針として記録されなければならないだろう。
「危機はまた危機を呼ぶ」といい、「雨降って地固まる」とも言う。南北を戦争直前の雰囲気へ推し進めた状況が対話と妥協を通じて終了した。また同じ事態が反復されないように南北ともに明確で具体的な意思を見せるべき時だ。
(ムン・ビョンチョル ソウル大社会科学研究院研究員・国際政治学、8月26日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。