「赤旗」5月値上げ、「増税攻撃」堪えられず
超高齢化と少子化の人口減少は社会保障制度改革論議を巻き起こし、民主党政権で「社会保障と税の一体改革」として行われた消費税増税が、日本共産党の台所に響いている。
4月からの消費税率8%に共産党は反対した。機関紙「しんぶん赤旗」3月19日付では「消費増税が強行された場合、4月の購読料については、日刊紙、日曜版とも、特別の内部努力によって臨時に本体価格をさげ、税込みのうえ購読料はすえおきます。そのうえで、5月以降はさらに検討し、一定の措置をお願いすることになる」としていた。
ここで「一定の措置」について明言しなかったので、「検討」によっては5月以降も価格を「すえおく」こともあり得た。その結論が4月12日付に載った。結局、同紙1カ月の購読料(日刊紙3400円、日曜版800円)を5月から日刊紙3497円、日曜版823円に、一部売りはそれぞれ10円上乗せし日刊紙130円、日曜版210円とする値上げを決めた。5月から日刊の題字にこれまでなかった定価が細かく記載されている。
値上げ理由は、同記事によると減ページも検討したと断った上で、「負担増分に見合う節約のためには、日刊紙、日曜版ともページ数を大幅に減らさなければならず、紙面の魅力が大きく損なわれる」「安倍政権による消費税増税攻撃によって紙面の魅力を大きく後退させるわけにはいきません」というものだ。
月97円(日刊紙)、23円(日曜版)の価格転嫁をしないとページ数が大幅に減る――との触れ込みで読者(党員)が納得したかは不明だ。減ページでも他党機関紙より量はある。「紙面の魅力」より減ページに伴うリストラがしんどかったのではないか。
また、機関紙事業は政党助成金を拒否できる同党の主要財源であり、逆に言えば直接財源に響く消費増税への抵抗による負担は政党助成金拒否のようには継続はできなかったと言える。「増税攻撃」への抵抗も1カ月で「赤旗」は白旗を掲げて増税に応じたわけだ。
しかし、その機関紙収益も部数減退で日刊紙は火の車となり2011年9月に月2900円から3400円へと500円値上げした。当時の説明では読者が10年間で36万人から24万人台に後退して採算が合わなくなり、500円値上げのうえ読者を26万人に増やす必要があるというものだった。
さらに、その後も読者は減っている。同党中央委員会は15日に幹部会を開き、1月の党大会からの中間評価をした。そこで行われた決議「『党創立92周年・いっせい地方選挙勝利をめざす躍進月刊』をよびかける」(同紙16日付)によれば、機関紙読者は「大会後の3カ月間、連続後退となり、日刊紙、日曜版とも党大会比97・2%に後退した」。党員は「党大会現勢比で99・6%」という(1月の同党の第26回党大会決議は「現在、日刊紙、日曜版読者をあわせて124万1千人」「党員現勢は30万5千人」と報告)。
消費税率引き上げは共産党の場合、機関紙を売る事業規模が大きいだけに、まさに「増税攻撃」の被害感が増幅している。