「自由民主」国民投票法改正案の成立を訴える
立憲などの遅延戦術に苦言、国民のための憲法改正論議を
自民党の機関紙「自由民主」は、4月27日号、5月4・11日合併号、5月18日号と連続して憲法改正手続きのための国民投票法改正案の早期成立を1面で訴えた。現在、改正案は衆院を通過し参院で審議されているが、一部野党の遅延戦術に同紙は苦言を加えた。
もともと同法は与野党の一致によって成立している。全党参加の国会憲法調査会の最終報告を経て、国会に憲法審査会を常設し、国民投票法が2007年に制定された。改正案は「憲法改正の是非を問う国民投票の利便性を公職選挙法の規定に合わせるもの」(4・27)だが、その後の審査会の停滞は、政権交代が繰り返された上、第1野党の民進党が共産党との共闘に舵(かじ)を切り、分裂を経て立憲民主党に代わった事情がある。
4月15日に今国会で初めて開かれた衆院憲法審査会を受け、同紙(4・27)は「平成30年から8国会にわたって継続審議となっている」ことから、「会期中の成立を目指すわが党会派からは4議員が発言し、改めて早期採決を求めた」ところ、「公明、維新、国民民主の各会派からも同調する意見が出されたが、立憲側は審議の継続を主張し、この日の採決には至らなかった」と、相変わらずの先延ばしを批判した。
また衆院通過を報じた同紙(5・18)では、新藤義孝衆院議員が「『政局から離れて国民のための議論を行うという憲法審査会の精神をないがろにしてきた』として、一部野党のこれまでの姿勢を批判した」と強調した。
なかなか進まない憲法論議について、「盛山正仁議員は『一度も手直しがないこと自体が通常ではない。国会議員全体の責任ではないか』と力説。城内実議員は緊急事態条項などの必要性を訴えた上で、『国民の目線に立ち、国民のための憲法改正論議が行われることを切に期待する』と述べた」(4・27)と報じたが、もっともなことだ。尖閣諸島など領土問題、大規模自然災害、新型感染症など難題が絶えない。
改正案は立憲と施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講じるとの付則を加えることで修正したが、新藤氏の審査会での発言から「付則に盛り込まれた事項と憲法改正の議論を同時並行で進めるべき」だと主張。立憲や共産、社民など野党共闘が投票法の再検討で改憲論議の中身に入らせない遅延戦術に出ることを警戒している。
編集委員 窪田 伸雄